ちょっと古い育児本。
「赤ちゃんのいる暮らし」 毛利子来(もうり たねき) 著
手に取って読んだ感じ、ちょっと昔(?)の育児本だと思う。
でもとっても優しい。簡単とかではなくて、あたたかく優しい視点で描かれてる。
内容はマンガでも取っ付きやすい感じでも無いし、絵がいっぱいではない。
文字ばかりだし、読んだ中で「情報古いよ」って思う人もいると思う。
1990年初版なので、すんごい古い訳じゃないけど著書が1929年生まれ。おじいちゃん先生。
小児科医だったみたいです。
そんなに肩肘張らなくて大丈夫。
もっとゆったりいこうよ。というスタンスで書かれています。
読んで「ホッとした」のが正直な感想。
アレはダメ、これはトンでもない!みたいな事は書いてなくて、それぞれみんな事情があるんだから思い通りに行かなくてアタリマエだよって感じです。
何かあるとググって、たまひよみたいな雑誌読んで「普通と違うかも!」と焦りがちですが、みんな違うんだし気にしてても仕方ないよと書いてあります。
ただ「こういうときは病気を疑って」ともあるので、楽観視ばかりが良いという訳でもないよと諭されている気分になります。
例えば「知恵付き」という章に
「発達」というのは生きる次元とは違った別の尺度であり、「発達」は個人ではなく一般の尺度であり、その一般は大多数者を「標準」としたもの。
さらには「標準」ならいい、それを超える子は優秀、下回る子は劣等という価値観がひそんでいるのかもしれない。なんという冷酷な考え方か。
大多数者に遅れた育ちをする赤ちゃんは劣った人間なのですか。人間としての尊厳は変わらないはず。それをみんなが早いのを良いとするのは生産性至上の考え方だ。
という部分がありました。
ここを読んで「発達障害」という言葉に持っていた嫌悪感と違和感が「しっかり言葉になった」と思いました。
指している「発達」はモノが違うかもしれませんが、包括しているなと思います。
そして何より
「子がかわいくない」という段落には
どんなに子どもを可愛がって育てている人でも、ときにはいやになり、ふっと憎しみを感じることがあるのではないでしょうか。
とあります。涙が出る思いです。
我が子はカワイイ、けどたまに「この子さえいなければ」と思わないでも無いんです。
お母さんになって一日のほとんどを、この怪獣と一緒に過ごしていてトイレも自由に行けなかったり友達と夜飲みに行けなくなったり。
我慢ばっかりかよ!と思うことが多いですよ。
でも、まるでそういう感情を持つのは「母性が足りてないのね」的な指摘をされます。
産後すぐだったら「きっと産後うつだよ」「ナーバスになってるんだよ」「それはアタリマエの事だよ」と優しく言ってくれる人も、半年がたち8ヶ月が経つと手のひらを返したように「甘え」「酷い」「虐待」と言い出す人もいますよ。
カワイイと思ってるよ。大好きだし、食べちゃっても良いくらいです。
最近のハッピーアドバイスみたいのも、すごく読みやすくて分かりやすいんだけど
ちょっと物足りなかったのです。やっぱり読み物のほうが個人的に好き。
私が持っているのはハードカバーだけど、文庫もあるみたいなので紹介。