NHKでやってた帝王切開のこと。
出産ってさ、たまごクラブとか読むと「素晴らしい自然分娩」みたいな記事が多いじゃん。そりゃ、人類何万年の歴史のなかで帝王切開なんて最近のことだろうし、まぁ自然が一番だって思うのは良いんだけどさ。
あまりにも自然こそ最上みたいな煽り方は、そこからはみ出た人を遠回しに非難しているようになっちゃうよね。
もちろん『そんなつもりはない』でしょうけど。
私の産院は、個人医院で、しかも微妙に過疎った地域なうえに産科がどんどん無くなったので、先生一人で24時間戦ってます!みたいな状態。
そこに内科と婦人科もある。
助産師さんは4人くらいいたけど、それだってシフトで精一杯な感じだった。
私はたまごクラブ読んで「バースプラン」ってのがあるらしいので、それとなく聞いてみた。先生と助産師さんから返って来た返事は…
「そのとおりに出来なかったら後悔するからやめときな」
だった。
私の妊娠期間は何も無くて、貧血もなくて(むしろ成人男性以上のヘモグロビン数値を叩き出し)体重増加も元々のデブっぷりを抜いたら5kg増とイイ感じ。
なーにも問題なかったので、助産師健診でも「予定日通りに自然分娩出来るでしょう」と言われたのにまさかの2週間越え。
それでも、ギリギリに自然分娩出来るでしょーくらいにしか思ってなかった。
しかも、破水→陣痛→促進剤→帝王切開よ。
プロの助産師が見立てたのも、ことごとく裏切られて「緊急で直線切り☆」よ。
もしバースプランを練っていたとして…
ゆったりとした雰囲気の中で、旦那が立ち会って、音楽はこういうのかけて、赤ちゃんに合わせて、カンガルーケアもして、産んだらすぐにオッパイを吸わせたい。
とかイメージを持っていたら、それはものすごい絶望感だったでしょうな。
だって、どれも出来なかったし♩
ゆったりとした雰囲気 → 促進剤でのたうち回り、帝王切開決まってからは全裸にされて剃毛される。点滴とカテーテルで管だらけ☆
旦那が立ち会って → 手術だから無理。病室か待合室で待機。手術同意書にサイン。
音楽はこういうの → 主治医と応援の医師の世間話と血圧の読み上げの声。
赤ちゃんに合わせて → 問答無用でこの世に出される
カンガルーケア → 首から上しか動かないし、そんなの無理。麻酔でぼやーんとしたところに顔を見るのが精一杯。
オッパイ吸わせたい → ストレッチャーに乗せられ病室へ。その後、麻酔により深い眠りに。
私の場合はこうでしたので、バースプランは無くて良かったと思いました。
それでもメソメソ(母乳飲まないし)してた私に、喝を入れたのは実母。
帝王切開だろうと、ちゃんと産んだんだから問題なし!
2人とも元気に生活できたら問題なし!
30年前はミルク育児推奨だった!問題なし!
この言葉で立ち直った(?)し、今の私にはお腹の傷も勲章よ☆
むしろ問題は腹回りの肉…((((;゚Д゚)))
帝王切開だろうと何だろうと、お腹の中で命を育てただけでもスゴいことでしょう。
世の中のお母さんはそれだけで命がけだよ。
それに、帝王切開は医療が進歩して「お腹の中の赤ちゃんの様子が良く分かる」ようになったからの選択として増えていてアタリマエでしょう。
もしお医者さんに「赤ちゃんの様子がオカシイ。このままだと危険かもしれないから、緊急帝王切開しましょう」と言われて、それでも「この子に万が一があったとしても自然分娩が良い」と思う人はそんなにいないと思う。
もし赤ちゃんが残念な結果になっても、自然分娩できたから良いのだと思う人はいないと思うのよ。
もし自然分娩で頑張って赤ちゃんが死んじゃったら、それこそお腹に傷が残ったとかイメージ通りに出来なかったどころの後悔じゃないと思う。
私は出産雑誌や育児マンガみたいので、自然分娩をことさらプッシュする必要は無いと思う。
自分のイメージを具現化するよりも「赤ちゃんと2人で笑って生活する」のが一番じゃない?それに至るプロセスは何だって良いのよ。
帝王切開バンザイ。
術後の傷は痛いし、大変だけど、帝王切開があったから私は自分の子に会えた。
その息子は今日で9ヶ月。
もしあの時、帝王切開にしなかったらこの9ヶ月は無かったかもしれないと思うと、医療の発展に心から感謝する。
バイバイが出来るようになった息子を見て、大喜びするジジババを見れなかったのかと思うと「たかが傷」だと思えるよ。